難聴と糖尿病
難聴と糖尿病との因果関係を知っておくことが重要です
「糖尿病ではない人と比較すると、2型糖尿病(米国の全糖尿病症例の95%を占める)の成人患者では、難聴の罹患率が2倍となっています。」(※1)
※1 National Institutes of Health News. Hearing Loss is Common in People with Diabetes. 2008 (http://www.nih.gov/news/health/jun2008/niddk-16.htm)
「糖尿病患者は、糖尿病でない人と比べて難聴になる可能性が2.15倍であり、年齢別に見ると、60歳未満では2.61倍のリスク、60歳以上では1.58倍のリスクとなっています。」(※2)
※2 Fox News.com. Diabetes may be linked to hearing loss, study finds. 2012 (http://www.foxnews.com/health/2012/12/03/diabetes-may-be-linked-to-hearing-loss-study-finds/)
糖尿病が感音難聴につながる可能性があるというエビデンスがあります
糖尿病患者の検死研究では、糖尿病に関連する病変により内耳の神経や血管が損なわれることで、糖尿病が感音難聴の原因となり得るというエビデンスが示されています。
これには次の項目が含まれます。
· 内耳動脈硬化
· 血管条の毛細管肥厚
· らせん神経節の萎縮
· 第8神経(内耳神経)の脱髄
損傷は2型糖尿病患者においてより一般的であると見受けられます。
「糖尿病患者は、糖尿病と判明した当初は正常、あるいはほぼ正常の聴力を持っているものの、結果的に進行性の感音難聴に悩まされることになると考えられます。」(※3)
※3 Hendricks, J. et al (2006). Progressive sensorineural hearing impairment in maternally inherited diabetes mellitus and deafness (MIDD). Otology Neurotology.27 , 6, 802-808.
難聴は糖尿病患者に多い
医師が患者に聞こえに関する日常の問題について尋ねるのには様々な理由があります。研究者は、糖尿病患者に難聴が多いことを突き止めています。患者の両耳の低域周波数、中域周波数、高域周波数の聴力検査結果から、糖尿病と周波数ごとの難聴との因果関係が示唆される結果となりました。中でも、低域周波数の関係性が幾分強く出ています。低域周波数または中域周波数の中等度から重度の難聴は、糖尿病でない成人4,741人中は約9%だったのに対し、成人の糖尿病患者399人中では約21%でした。高域周波数の中等度以上の難聴は、糖尿病でない成人で32%だったのに対し、成人の糖尿病患者では54%でした(※4)。
もう1つの重要な研究は、1999年から2004年の間に行われた全国健康栄養検査調査(National Health and Nutrition Examination Survey)の参加者の聴力データを調査したものです。参加者5,000人以上のうち、糖尿病でない人の難聴の割合は15%であり、糖尿病と診断された人の難聴の割合は30%でした(※5)。
研究者チームの報告書は、難聴のスクリーニングにより、成人の糖尿病患者の聴力を改善できる早期の医学的介入が可能になるだろうと結論付けています。
※4
National Institute on Deafness and Other Communication Disorders(NIDCD). Annals of Internal Medicine. 2008
※5 Annals of Internal Medicine. NIH Public Access. Diabetes and Hearing Impairment in the United States: Audiometric Evidence from the National Health and Nutrition Examination Surveys, 1999-2004.Kathleen E. Bainbridge, PhD, et al. 2008.
医師が、患者に対し、難聴と糖尿病の明確な関連性を伝えることが推奨されます
まだ糖尿病と診断されていない患者であっても、難聴を識別するだけでなく、難聴が糖尿病やその他の心血管系疾患の発症の兆候という点からも、聴力検査を受けることが重要であると伝えるようにしましょう。
患者に難聴が疑われたり、難聴があることが分かっている場合は、全体的な健康のためにも、かかりつけ医に報告するよう促します。
すでに糖尿病と診断されている患者の場合は、合併症として難聴が考えられることを伝え、毎年聴力検査を受けるよう促します。難聴を早期に診断できれば、補聴器などよる効果的な聴覚ケアも期待されます。
シーメンスホームページから引用
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